【幻想即興曲】弾き方のコツ・背景〜解説〜
「いつかは弾きたい曲」で人気な幻想即興曲。
A-B-A'-コーダというシンプルな構造でありなが、速いパッセージやゆったりとした美しい部分が出てきます。
作曲・出版年は1835年
この曲はショパンにとって気に入らなかった
らしく、「自分が死んだらこの曲を燃やしてほしい」と友人のユリアン・フォンタナに頼んでいたそうです。
しかし、ショパンの思いとは裏腹に
「即興曲」と記されていたこの曲がユリアンの手によって「幻想」と付け加えられて出版されてしまいます。
それがあるからこそ、いま私たちはこの曲を聴けるんですね。
《演奏上のコツ》
【冒頭】
出だしの和音からインパクトがありますね。
5小節目以降に意識が向きがちになるこの曲ですが、出だしの和音をこそ美しく弾いていただきたい。
ソ♯→ド♯
オクターブというシンプルな和音。
特に身体の位置も気をつけて、腕や肘を少し左に持っていくだけで良い音が出せます。
【5小節目〜】
第1の壁、左右のリズムが違いますね。
右手は16分音符8つに対し左手は6連符となっています。
片手練習をしっかり行いましょう。
右手は指が滑らないようにスローテンポの練習や変奏を取り入れます。
左手は手首を使ってしなやかに動かし、低音の安定感が出るようにしたいです。
両手を合わせる際は、拍のあたまを合わせます。
右手の16分音符に意識が行きがちですが、左手を絶えず聴いてください。
ある程度弾けるようになってきたら、左右の割り切れないリズムの「あいまいさ」を味わってみて下さい💡
【35小節目〜】
最も盛り上がる箇所です。
右手35小節目の16分休符でタメ(呼吸)を入れると演奏が引き締まるでしょう。
【41小節目〜】
これまでとはうってかわり、美しい中間部がやってきました。
フレーズのまとまりを理解し、自然な歌を心がけて下さい。
強弱だけではなく、遠近、浅深をイメージするだけでも変化が生まれますよ💡
全てをゆっくり歌うのではなく、
その中でも前に進むところ、盛り上がる所を入れることで、より魅力的な演奏になります。
「幻想即興曲」はペダルを踏みすぎると誤魔化した演奏になるので注意が必要です。
ペダルなしでも美しく演奏できると、ペダルを踏むことで更に響きが増す演奏にできるでしょう。